良い糸とは? 基本編

 

結城紬では、手つむぎ糸の品質いかんで製品の仕上がりに差が出たり、

職人さんの手間がかわったり、そもそも条件の合った糸が揃わなければ検査に合格する製品が作り始められません。

それだけ結城紬にとって糸は重要です。

結城紬の手つむぎ糸を取る方に、ぜひ知っていただきたい事柄を、これから度々こちらに掲載してまいります。

 

 

今回は第一回。基本編です。

 

さて、結城紬の手つむぎ糸の「良い糸」とはどんな糸でしょうか。

 

それは、太さにムラがなく平らで、切れない糸  のことです。

これは後に続く結城紬のすべての工程においてとても重要です。

切れてしまう糸、道具を通すと絡み付いてしまう糸、引っかかる糸どれも作り手を困らせます。

 

具体的に分かりやすく、良くない糸、悪い糸を①~③でご覧いただきます。

 

① 節(ふし)のある糸/真綿の塊、” 節”が取りきれずに残っています。

 

② カツケの悪い糸/「なでつけ」・「つなぎ」の処理がきちんと出来ずに枝毛のような“ 足”が出ています。

 

③平らでない・毛細な糸/つくしにかけた袋真綿から引き出されるワタの量にムラがあるため、糸の太いところと細いところの差が目立っています。これでは平らな糸とは言えません。そしてより気にして頂きたい点が、ツーっと毛細く切れそうな個所があることです。”切れてしまう糸”は製織には使用できません。1枚の袋真綿に取組まれていて、終盤、繊維が引き出しにくくなる箇所や、真綿を爪を立てて引き出した場合にこうした糸は出来やすいのでご注意ください。

 

良い糸が取れるようになるためには、悪い糸を知って頂く。

そして焦らず、習い始めは特に技術習得のために丁寧な作業を心掛けられることが上達の近道かもしれません。