袋真綿を広げる 

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糸取りの下準備として、昔はゴマ油やクルミ油で袋真綿をなめしたそうです。現在の袋真綿は質が向上し、その手間はなくなりました。それでも古参の糸取りさんの中には牛乳を薄めたものに真綿を浸し、陰干ししたワタを糸にする、という裏技を続ける方もおいでです。知恵と工夫を惜しまないんだな、と感心します。

 

糸取りをするため袋真綿をつくしに掛けますが、その前に真綿を広げます。

両手を袋真綿の中に入れ、両端で”グー”にし、手首を軽く曲げ、両手が内側にお辞儀するようなポーズをとり、手の甲で内側から真綿をグッグッと、押すように広げます。

 

「真綿を広げる」としましたが、本来大切なのは、

・真綿の縁(ふち)部分と中の部分の質の均一化

・真綿全体の繊維の向きを調える

この2つのことです。

 

そして、コツは広げ過ぎないこと。広げ過ぎてワタをテロテロにしてしまうと、つくしに掛けてから真綿の隔離が起きやすいのと、腰の抜けたような、引きの弱いワタからコロコロした丈夫な糸を取るのは大変難しいです。

 

何事スタートが肝心です。真綿をよく観察しご自分の加減をいち早く会得することが、良い糸を取ることにつながります。